大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和54年(わ)171号 判決 1980年1月29日

本籍

愛知県豊橋市中柴町一五番地

住居

名古屋市千種区鍋屋上野町字東山三六二三番地の四五一

会社役員

今泉淳

昭和一〇年五月一九日生

本店所在地

名古屋市熱田区沢下町一八番地

法人の名称

図書販売株式会社

代表者の住居

名古屋市千種区鍋屋上野町字東山三六二三番地の四五一

代表者の氏名

今泉淳

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官西山彬出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人今泉淳を懲役二年に、被告会社図書販売株式会社を罰金二、五〇〇万円に処する。

被告人今泉淳に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人今泉淳は昭和三四年三月学習院大学政経学部を卒業して証券会社に勤務した後、同四二年一〇月ころから名古屋市内において個人で教育図書販売業を営み、次第にその業績を伸ばし、同四四年一〇月二〇日これを法人化して同市熱田区沢下町一八番地に本店を置く被告会社図書販売株式会社を設立し自ら代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、右業界の競争が厳しく好不況の波も大きいうえ、被告会社の資産内容が十分でないところから、不況時等に備えて必要な裏金を蓄積するため、被告会社の業務に関し、同会社の法人税を免れようと企て、

第一  同五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億三、四六三万七、一六五円で、これに対する法人税額が五、二九〇万四、六〇〇円であるにもかかわらず、受入手数料及び売上の一部を除外したうえ、簿外預金を設定し、簿外債券を購入するなどして所得の一部を秘匿したうえ、同五一年二月二八日、同市熱田区花表町一丁目一四番地所在熱田税務署において、同税務署長に対し、被告会社の所得金額が一、八八二万三六八円で、これに対する法人税額が六五九万六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額四、六三一万四、〇〇〇円の法人税を免れ、

第二  同五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億六、八九〇万三、三一〇円で、これに対する法人税額が、六、六三九万八、六〇〇円であるにもかかわらず、前同様の方法で所得の一部を秘匿したうえ、同五二年二月二六日、前記税務署において、同税務署長に対し、被告会社の所得金額が二、八七八万一、七九七円で、これに対する法人税額が、一、〇三七万四、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額五、六〇二万四、六〇〇円の法人税を免れ、

第三  同五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が、一億四、三九〇万八、二六九円で、これに対する法人税額が五、六七二万三、二〇〇円であるにもかかわらず、前同様の方法で所得の一部を秘匿したうえ、同五三年二月二四日、前記税務署において、同税務署長に対し、被告会社は欠損金二、〇六七万九、七三四円で、納付すべき法人税はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により、右事業年度の法人税五、六七二万三、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

〔同一作成日付の証拠書類を特定するため、検察官請求証拠等関係カード(甲)記載の証拠番号を「(甲)1」のように略して証拠に付記する。〕

判示事実全部につき、

一、被告人今泉淳の当公判廷における供述

一、第九回公判調書中の被告人今泉淳の供述部分

一、被告人今泉淳の検察官に対する昭和五四年二月九日付供述調書及び大蔵事務官に対する同五三年九月二五日付質問てん末書

一、篠田達也の検察官に対する供述調書

判示冒頭の事実につき、

一、登記官作成の登記簿謄本

判示第一ないし第三の各事実につき、

一、被告人今泉淳の検察官に対する昭和五四年二月一五日付供述調書及び大蔵事務官に対する同五三年九月二六日付、同年一〇月六日付、同月一六日付、同年一一月二七日付、同年一二月一五日付、同月一九日付、同五四年一月一一日付、同月二九日付各質問てん末書

一、被告人今泉淳作成の上申書八通

一、堀田利勝の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官作成の昭和五三年九月二五日付、同月二九日付調査報告書、同月二六日付査察官報告書及び同五四年一月六日付(二通。(甲)24、(甲)32)、同月一二日付(二通。(甲)9、(甲)26)同月一六日付、同月二九日付査察官調査書

一、安藤和明、山中建次郎、松本清、井上晃一及び奥村嘉章作成の各上申書

一、天池武文(昭和五四年一月二九日付。(甲)4)、本田一巴(四通)、湯川晶彦(二通)、山中建次郎、井上猛、松沢房夫、渡辺勝男、家田熙、新村卓也、彦坂隆、八橋悦雄、井口信一、恒川良一((甲)46)、宮下智延(二通)、椙山三郎(二通)及び大塚隆夫作成の各証明書

一、検察官作成の電話聴取書

判示第一及び第二の各事実につき、

一、大蔵事務官作成の昭和五四年一月一三日付査察官調査書

一、松本忠男作成の証明書

判示第一の事実につき

一、天池武文作成の昭和五四年一月一六日付(二通。(甲)1、(甲)58)及び同月二九日付((甲)59)各証明書

一、大蔵事務官作成の昭和五四年一月一三日付査察官調査書及び同五三年九月二五日付調査報告書((甲)34)

一、村上十三男(二通)、清水規夫及び野田健(二通)作成の各証明書

判示第二及び第三の各事実につき、

一、呉座寛及び上原永一作成の各証明書

判示第二の事実につき、

一、天池武文作成の昭和五四年一月一六日付((甲)2)及び同月二九日付((甲)60)各証明書

一、恒川良一作成の証明書((甲)47)

判示第三の事実につき

一、天池武文作成の昭和五四年一月一六日付((甲)3)及び同月二九日付(甲61)各証明書

一、国税査察官作成の昭和五三年一二月二二日付査察官調査書

一、大蔵事務官作成の昭和五四年一月六日付査察官調査書((甲)31)

(法令の適用)

被告人今泉淳の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項、二項に、被告会社図書販売株式会社の判示各所為はいずれも同法一六四条一項、一五九条一項、二項に該当するが、被告人今泉の判示各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人今泉及び被告会社の判示各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人今泉につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、被告会社につき同法四八条二項により判示各罪所定の罰金を合算し、右刑期及び金額の範囲内で被告人今泉を懲役二年に、被告会社を罰金二、五〇〇万円に処することとし、情状により同法二五条一項を適用して被告人今泉に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 塩見秀則 裁判官 高橋省吾 裁判官 木村元昭)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例